睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん、Sleep apnea syndrome; SAS)とは、睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる疾患。
もっとも一般的な特徴は、大きないびきである。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)、これら2つの混合性睡眠時無呼吸症候群、の3つに分類される。
OSAが最も一般的である 。

OSAのリスクファクターには、肥満、家族の病歴、アレルギー、咽頭扁桃肥大(アデノイド)などがある。

<分類>これは病因による分類ではなく、あくまでも睡眠ポリグラフ上の鼻腔口腔気流と胸腹壁運動との関係で分類されている。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS, Obstructive sleep apnea syndrome)
睡眠中の筋弛緩により舌根部や軟口蓋が下がり気道を閉塞することが主な原因である。
上気道の閉塞によるもので呼吸運動はある。肥満者は非肥満者の三倍以上のリスクがあるとされる
中枢性睡眠時無呼吸症候群 (CSA,central sleep apnea syndrome
脳血管障害・重症心不全などによる呼吸中枢の障害で呼吸運動が消失するのが原因である。
混合性睡眠時無呼吸症候群(mixed type):
閉塞型と中枢型の混合したもの。混合型は閉塞型の一種とみなされる。

OSAが84%、CSAが0.4%、混合型が15%を占める。

【治療方法】
治療の原則は軌道閉塞に関与する増悪因子を取り除くことが第一である。
[1]一般的治療
(1)減量:肥満者に対しては減量が重要である。
(2)誘因の除去と基礎疾患治療:鼻閉塞の治療、飲酒の改善、睡眠薬投与方法の見直し、甲状腺機能亢進症の治療
(3)睡眠体位の指導:仰臥位で舌根沈下が起こりやすいため側臥位の指導などを行う。
[2]積極的治療
(1)経鼻式持続陽圧呼吸療法(nasal continuous positive airway pressure:nCPAP):CPAPシーパップ
上気道に一定の空気圧を睡眠中送り込むことにより上気道閉塞を防ぎ睡眠時無呼吸が起こらないようにする治療法
(2)歯科的口腔内装置:スリープスプリント。軽症~中等度の舌根沈下による睡眠時無呼吸の治療装置。簡便な装置で、
症例によっては高い効果を示す。
(3)外科手術
1.気管切開:CPAP以前の重症例で行われた。弊害が多いため最近では一部の重症例以外はほとんど行われない
2.口蓋垂軟口蓋咽頭形成術 :合併症があり治療効果も不十分なことが多く現在はほとんど行われません
3.下口蓋垂軟口蓋形成術:口蓋垂と軟口蓋を部分的に焼き切る方法。
4.原因療法:扁桃肥大、アデノイド、鼻中隔湾曲症などが原因になっている場合に手術を優先的に行う。

(4)薬物療法:アセタゾラミドなど

生活習慣については禁酒、減量、禁煙、睡眠姿勢など。呼吸機器ではCPAP装置の装着など。
治療しない場合、心臓発作、脳梗塞、糖尿病、心不全、不整脈、肥満、交通事故などのリスクが増加する。
OSAの有病率は、成人で1-6% 、小児で2%ほど。男女で有病率に差はない。
すべての年齢で起こり得るが、もっとも一般的なのは55-60歳である。CSAの有病率は1%以下である。

症状)
●いびき:いびきは上気道の狭窄により睡眠時に生じる異常音であるため、ほとんどのOSAHS患者は顕著ないびきを伴う。
就寝中の意識覚醒の短い反復、およびそれによる脳の不眠
●昼間の傾眠傾向・集中力の低下:日中の過度の眠気や注意力判断力の低下はほとんどの患者が自覚症状として訴え、社会生活上も重要な問題となる。
●夜間頻尿・夜尿症:原因として胸腔内陰圧化に伴う夜間の心房性Na利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide:ANP)の分泌増加が関与している。
●起床時の頭痛:SAS患者では持続的な低換気による高炭酸ガス血症と低酸素血症が起こっているため早朝起床時の頭痛を訴えることが多い。
●精神症状:抑うつ、意欲低下などが引き起こされる場合がある。うつ病や不安神経症などとの鑑別診断が必要である。
●性欲減退・インポテンツ
●月経不順・呼吸性アシドーシス・こむら返り・糖尿病性昏睡
●逆流性食道炎:上気道の閉塞に伴う食道と胃内圧の変化により起こることがある。
●夜間の発汗

 

1999年にアメリカ睡眠医学会(American Academy of Sleep Medicine AASM)により睡眠関連呼吸障害が4種類に分類された。

(1)閉塞性睡眠時無呼吸亭呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome:OSAHS)(OSAS)

※歯科領域で扱うのは大部分がこの閉塞性睡眠時無呼吸亭呼吸症候群である。

(2)中枢性睡眠時無呼吸亭呼吸症候群(central sleep apnea-hypopnea syndrome:CSAHS)

(3)チェーン・ストークス(cheyne-Stokes)呼吸症候群

(4)睡眠時低換気症候群(sleep hyperventilation syndrome:SHVS)

 

 

アメリカ睡眠医学会(AASM)の提唱する基準では

「無呼吸・低呼吸指数」(apnea hypopnea index; AHI) が5以上且つ日中の過眠などの症候を伴うときを睡眠時無呼吸症候群とする。

無呼吸 : 口、鼻の気流が10秒以上停止すること。
低呼吸 : 10秒以上換気量が50%以上低下すること。
無呼吸・低呼吸指数 : 1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせたもの。
を指す。
なお、この定義には当てはまらないものの低呼吸状態を繰り返して不眠を訴える場合があり、その場合も睡眠時無呼吸症候群と同様、患者のいびきや歯ぎしりがひどい場合が多いため「いびき・歯ぎしり不眠症」と呼ばれる。

睡眠ポリソムノグラフィ検査は、睡眠ポリグラフ (PSG) 検査とも呼ばれる。
入院して下記のようなデータ収集を行なうものである。携帯型の簡便な装置(アプノモニター)で在宅検査を行なう場合もある。
脳波、眼電図、頤筋筋電図による睡眠ステージ
口・鼻の気流、胸・腹部の動きによる呼吸パターン
パルスオキシメーターによる経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2)

<更新:2017/10/20>

 

全身的合併症
(1)多血症
(2)高血圧
(3)不整脈
(4)肺高血圧・右心不全
(5)虚血性心疾患
(6)発育・成長障害

参考文献)

スリープスプリント療法“>スリープスプリント療法-睡眠時呼吸障害の歯科的治療法 砂書房2005年 黒崎紀正他